国会質問

2025年4月4日(金)財務金融委員会

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第217回国会 衆議院 財務金融委員会 第14号 令和7年4月4日

岡田(悟)委員

 立憲民主党の岡田悟です。
 質問の機会をいただき、ありがとうございます。
 今日は日本銀行の植田総裁にお越しをいただきました。お忙しいところ、ありがとうございます。
 先ほど原口委員からも質問がありましたけれども、アメリカ・トランプ政権の関税政策、日本時間の昨日の朝発表されて、世界中かなり動揺しているという状況であろうと思います。そして、マーケット、株価等、非常に今大きく下がっているという状況です。いろいろな見方がありますけれども、予想よりはかなり関税の引き上げ方が大きいのではないか、こういう見方もあります。
 先ほど内田副総裁から若干お答えをいただきましたけれども、改めて植田総裁にもお尋ねをしたいと思います。
 一連のトランプ大統領による関税政策の日本経済と世界経済への影響、そして、日本銀行の金融政策、これにも何かしら影響するのかどうか、お答えをいただければと思います。

植田参考人

 お答えいたします。
 関税政策の影響でございますけれども、例えば、関税の導入が、まずグローバルな貿易活動に直接影響するというメカニズムが考えられます。それから、今後の関税政策の帰趨を含む様々な政策に関する不確実性の高まりが、各国の家計や企業のコンフィデンスあるいはマーケットに影響を及ぼす可能性がございます。こうした様々なルートを通じて、関税政策は世界経済及び我が国経済に下押しの圧力を働かせる要因になると考えられます。
 我が国の物価面では、今申し上げた経済の下押し圧力は物価を押し下げる方向に作用すると考えられます。ただし、グローバルなサプライチェーンが混乱するというような供給サイドからの影響がありますと、上押し圧力に働く可能性もございます。また、金融・為替市場を通じる影響にも注意が必要です。
 このように、上下、特に物価については様々なメカニズムが考えられますので、現時点では一概には評価できないというふうに見ております。
 こうした内外の経済や物価に及ぼす関税政策の影響や程度について、私どもとしても十分に注視し、金融政策の決定において役立てていきたいと思っております。

岡田(悟)委員

 ありがとうございます。
 確かに、影響は非常に、国内外、いろいろなルートを通じて起こっていくんだろうということだと思います。
 そして、今、完全にこうなると言われているわけではないにせよ、米国において、スタグフレーション、これが起きるのではないかということを懸念する声が出始めているというふうに伝えられています。景気は悪くなっているのに物価が上がり続けるという、七〇年代にアメリカがこれに非常に苦しんだと言われていることですけれども、これが今後もしアメリカで本格化をした場合において、日本銀行の金融政策に何か影響を与えるものなのかどうか。植田総裁、いかがでしょうか。

植田参考人

 こういうことが起こった場合にこうなるというふうに具体的になかなか申し上げづらいわけですが、いずれにせよ、今回の関税政策の我が国の経済、物価への影響については、私ども、毎回の金融政策の決定会合で、その会合までに入手可能になった様々なデータ、ヒアリング情報などを確認して、しっかりと議論してまいります。
 二%の物価安定目標の持続的、安定的な実現という観点から、適切な政策運営を行ってまいりたいと思っております。

岡田(悟)委員

 状況がどうなるか、またそれを前提に決め打ちをされるというふうな御答弁は難しいものということは承知をしております。
 今、日本銀行において行われている政策というのは、これまでの異次元緩和の見直しということで、物価高に応じて金利を少しずつ引き上げていく、その一方で、国債の買入れ、これを減らしていくということが今行われているというふうに理解をしています。これは、今もう物価が既に上がってきているわけですから、当然、金融政策の見直しは、必要な取組も今まさになされているんだろうということは理解をしておりますが。
 これもちょっと仮定の話にはなりますけれども、アメリカの関税の見直しというのは世界経済に非常に大きな影響を与えるということで、世界恐慌といいますか、余り考えたくありませんけれども、経済が非常に危機的な状況に陥るのではないかという懸念も出ております。もし経済の状況が急変をした場合、今進めておられる金融政策の見直し、これもまた大幅に変更する、金利を引き下げるとか、国債あるいはリスク資産を買い入れるとか、金融政策を今後大きく変更される可能性があるのかどうか。一般論でも結構ですけれども、お答えいただければと思いますけれども、いかがでしょう。

植田参考人

 抽象的な言い方で恐縮ですが、外部環境が大きく変化した場合に、私どもの経済、物価見通しもそれに合わせて変化すると思います。
 それに合わせて適切な政策対応を取ってまいりたいと思っております。

岡田(悟)委員

 ありがとうございます。
 非常に、関税、影響が大きいということで、ただ、まだ具体的にどういう影響が出るのかというところは、我が国だけじゃないと思いますけれども、政府でもなかなかつかみ切れておられないのではないかという状況のように思います。ただ、これは、我が党の重徳政調会長も、国会でいろいろな取組をして政府を後押ししていくというふうにおっしゃっておりますので、背中を押していくとおっしゃっているんですね。これをしっかりと、アメリカに国を挙げて対応していくという議論をしていくべきではないかというふうに私は思っております。
 では、総裁に引き続きお尋ねをしたいと思うんですが、先週の日銀報告に対する質疑でも、我が党の先輩の委員の皆さんが盛んにいろいろと総裁と議論を交わしておられましたけれども、改めて、多角的レビュー、昨年公表されました、これについてちょっとお尋ねをできればと思っております。
 非常に長大な、いろいろなことが詳しく分析をされていて、大変勉強になりましたけれども、このレビューは過去二十五年間の日本銀行の金融政策に対するレビューであるということは認識をしておりますけれども、やはり注目をされたのは、アベノミクスに対する、異次元金融緩和に対する評価であったのかなというふうに思います。これについて、端的に、このレビューとしては、大規模な金融緩和は一定の効果を発揮はしたが、当初に想定していたほどの効果は発揮しなかったと。これは、これまでも何度も答弁されておりますように、日本銀行としての一連の金融緩和に対する結果、レビューなのかなというふうに理解をしております。
 一方で、このレビューの冊子の後半には、有識者、主に経済学者の先生方が一連の金融政策に対する評価を示しておられるわけですけれども、大変腑に落ちたといいますか、多分多くの国民の皆さんも同じように感じておられるのかなというふうな文言がありまして、村田啓子先生、立正大学の先生でいらっしゃいますけれども、つまり、大規模緩和は、輸入インフレと人手不足に助けられて、十一年目に結果として目標を達成したと言えるというふうに書いておられて、異次元緩和は、いろいろな大胆な、それこそ大胆な動きをたくさん前任の黒田前総裁がされて、今なお日本の経済に大きな影響を及ぼしているわけですけれども、ただ、残念ながらといいますか、アベノミクスは、今申し上げた、輸入インフレと人手不足に助けられて、十一年目に結果として目標を達成したと言えるという、この二行に尽きるのではないかというふうに私は思ったんですけれども。
 総裁に伺いたいんですが、当初見込まれたように、金融緩和をすることでインフレの期待を起こして物価上昇率二%を達成されるということはできず、結果として、日米金利差による円安や人手不足で今二%以上に物価が上がっているのではないかと思いますけれども、総裁の見解を伺いたいと思います。

植田参考人

 大規模金融緩和の効果でございますけれども、私ども、レビューでもまとめましたように、まず、経済、物価を一定程度押し上げて我が国経済がデフレでない状態をつくり出すということには貢献したと考えております。その意味で、大規模金融緩和が、現時点においては、全体として見て我が国経済にプラスの影響をもたらしたと考えております。
 ただ、委員御指摘のとおり、長い間続いた、賃金、物価が上がりにくいということを前提とした慣行や考え方に根強いものがありまして、なかなかそこを変える、あるいは期待へ働きかけるということが難しくて、導入当初に期待されたほど物価を押し上げる効果が発揮されなかったというふうには考えております。

岡田(悟)委員

 なかなか、黒田総裁、前回、階委員が、国会図書館ですかねの冊子に寄稿されているというものを紹介されました。ETFの件なども言及されていて、ただ、それ以外についても、非常にあっけらかんとある種金融緩和について振り返っておられるような印象がありまして、ちょっとこれは、今起きている物価高の状況を考えると、果たしてどうなのかということも思ったわけですけれども。この物価高の要因といいますか、二%あるいはそれを超えている今の物価の状況について、これも先週の質疑で、いろいろな分析と、あと議論がなされたという状況を、私も大変興味深く聞いておりましたけれども。
 三月の決定会合における主な意見というものを公表されています。主な意見、それ以上も出ていますかね、主な意見を見てちょっと私は気づいたんですけれども、ある委員の方、もちろんこれは意見ですから、日本銀行の組織としての見解ではないと思いますが、食品の値上がりによる物価への影響ですけれども、生鮮食品、穀類の上昇は、主に供給ショックと位置づけられるが、持続性があり得るということ、それから、農産物の価格高騰は、供給力低下や人件費上昇等、一過性でない要因の影響が大きいという指摘が上がっていました。
 私、今、選挙区は都市部なんですが、新聞記者をかつてしておりまして、秋田県に五年、記者の仕事をしていたんですが、もう十五年前ぐらいにはなるんですけれども、当時から、畑や田んぼに出る人は六十代でも若手と言われておりまして、今はもっとそういう状況が全国で広がっていると思います。
 何が申し上げたいかというと、農産物、漁業もそうかもしれませんが、供給力の低下、人手不足というのは非常に深刻化しているのではないか、米の値上がりが今非常に問題になっていますが、流通の問題とか天候の問題もあると言われていますけれども、構造的に供給力そのものが下がっているのではないかという指摘も出てきております。
 ということを考えれば、日本銀行の金融政策を考えられる上で、これも先週盛んに議論がありましたけれども、食品、生鮮食品まで入れるかどうかということは議論があるところかもしれませんし、それを除いている意味も理解をしておりますが、やはりこの食品の値上がりの問題、かつ、これが長期的に今後続くのではないかということも含めて金融政策をお考えになってはいかがかという議論、従来からありますけれども、改めて、この主な意見も含めて、総裁のお考えをお伺いできればと思います。

植田参考人

 食品価格の上昇でございますが、まず、生鮮食品の値上がりですけれども、私どもとしては、天候要因により生鮮食品の価格は一時的に大幅に変動する傾向が強く、最近の変動についてもこうした影響が大きいというふうに見ております。
 それから、米価格ですけれども、これは、先行きどうなっていくか、特に価格の水準がどうなっていくかという点については不確実性が非常に大きいと思いますが、前年比で見た上昇率は次第に低下する可能性が高いというふうに考えております。
 その上で、委員の御指摘がありました、生鮮食品や米を含む食料品価格上昇のもうちょっと一般的な影響についてですけれども、まず、これらについて、天候以外の様々な要因が影響している可能性は場合によってはあるというふうに見ております。さらに、そうした購入頻度の高い品目の価格が上昇していることが消費マインドあるいは予想物価上昇率に影響を及ぼし得るという点にも、私ども留意しておくことが必要であるというふうに考えております。
 こうした点も念頭に置きながら、基調的な物価上昇率を今後とも適切に評価していきたいというふうに思っております。

岡田(悟)委員

 済みません、ちょっとシンプルな質問で、通告していないので申し訳ないんですが、かつて日銀と政府との間で結ばれたアコード、共同声明ですね、ここに基調的という文言が入っているのかどうか、これをちょっとお伺いをしたいと思います。

植田参考人

 そこには直接には入っておりません。

岡田(悟)委員

 入っていないんですね。
 なぜその基調的ということを先日来おっしゃっているのかということは、お考えはあってのことだとは理解はしますが、ただ、やはりアコードには入っていないということを考えれば、さすがに、食品の件もいろいろ御説明いただきましたけれども、これだけ物価が上がっている、しかも二%を実際大きく超えて上がっているという状況を踏まえれば、やはりこれを見直すということも考え始めるべきではないだろうかというふうに思います。多くの国民はやはりそう感じていると思いますし。
 ちょっと時間がどこまであるか分かりませんけれども、金融政策の問題は日本の財政にも大きく影響しているということ、やはりこれも、アコードを一度解除して、日銀の金融政策にも柔軟性を取り戻すことによって、財政の問題、それから社会保障、再分配の問題も、広くオープンに議論をできるのではないかというふうに思います。そういう姿勢を政府・与党でお示しをいただければ、社会保障、財政についても、非常に前向きかつ今起きている問題を詳しく議論ができるのではないかということをちょっと意見として申し上げておきたいと思います。
 総裁には質問は以上となります。御退席いただいて結構です。ありがとうございます。

林委員長

 植田総裁、御退席ください。

岡田(悟)委員

 続いて、大臣に、ちょっと時間があるか分かりませんが、伺いたいと思います。
 まず、日本銀行が国債の買入れを減らしていくという状況があります。これによって、国債の安定的な消化が可能かどうかということが課題になろうというふうに思います。とりわけ、海外投資家へのIRもこれから強化をされるということですけれども、海外投資家の比率が上がればその分リスクも増えるのではないかという見方もありますけれども、これも踏まえて、国債の安定的な消化について大臣のお考えを伺いたいと思います。

加藤国務大臣

 国債の消化については、昨年の日銀の国債買入れ減額の決定を受け、国内外の幅広い投資家に国債を購入、保有していただく努力が一層重要になっていると認識をしています。そのために、市場環境、投資家ニーズに即した年限構成の見直しや新商品の開発、また、国内外の投資家に向けたIRの実施などの取組を行っているところであります。
 海外投資家については、その国債保有比率の上昇をリスクとする議論があることは承知をしておりますが、海外投資家の中にも、中央銀行、年金基金、生命保険など、国債の安定的な保有が見込める投資家も存在しているところであります。そうした海外投資家も含め、多様なニーズを持つ投資家が国債を取引することにより、市場の状況が一方向に流れることを防ぎ、市場を安定させる効果も期待できると考えており、政府として、引き続き、投資家のニーズまた金利動向、これを見極めつつ、適切な国債管理政策に努めていきたいと考えております。

岡田(悟)委員

 もう時間がありませんが、配付資料を御覧いただければと思います。
 利払い費が今後どれだけ増える可能性があるのか。十年物国債の金利が二%から二・五%まで上がっていくという前提で、財務省、機械的な試算だと思いますけれども、試算を出されています。利払い費は足下八兆円ぐらいでしたかね、それがもう少し増えて、令和十年度には十六兆円を超える、ただ、その分、税収も物価が上がれば増えていくということで、税収も増えていく見通しとなっていますが。
 大臣にお尋ねをします。税収が上がれば利払い費が増えても問題ないとお考えになるのかどうか。いかがでしょうか。

加藤国務大臣

 今、多分、お示しいただいたのは、財務省の後年度影響試算から抜き出された数字ではないかと思います。これは機械的に計算をしたものでありますが、まさにここに示されたように、金利が緩やかに上昇する下で、利払い費が徐々に増加する一方、税収も増加するということであります。
 ただし、税収等の増加幅を上回って利払い費を含めた歳出が増加することが予想されるわけであります。まさに物価が上がればその分だけの支出が増える等々でありますけれども、その結果として、税収等と歳出の差額、つまり税収等が歳出に比べて不足する姿、徐々に拡大していく姿ということにこの後年度影響試算等はなっているところであります。
 その背景にあるのは、やはり我が国の債務残高が非常に大きいということがあり、特に、金利が上がる場合には政策的経費を圧迫するおそれがそれだけ大きいということでございますので、私どもとして、物価が上昇すれば税収も増加するから問題がないという認識は持っていないということでございます。

岡田(悟)委員

 これで終わりますけれども、税収の問題は大臣御指摘のとおりと思います。きっちりと再分配ができるような適切な財政政策、我が党もしっかり考えていきたいと思います。
 これで終わります。ありがとうございました。